LPで最初に作るのはデザインではない — 情報設計から始める理由
白玉美容液の作品LPを例に、幻想と商品情報を分け、理解してもらう順番からページを設計する。

LPを作るとき、最初に決めるものは何だろう。
色。
フォント。
キービジュアル。
アニメーション。
どれも最終的には必要になる。
でも、自分はその前に決めたいことがある。
「このページを見た人に、何を、どの順番で理解してもらうか」
という情報の流れだ。
デザインは、その流れを伝えるための手段として後から乗せていく。
白玉美容液を題材にした作品LPでも、最初に考えたのは見た目ではなく、商品と世界観をどういう順番で出会わせるかだった。
LPは一枚のビジュアルではない
LPというと、大きなキービジュアルと強いコピーを中心に考えたくなる。
特に今回のように、商品をクリエイターの解釈で表現する企画では、最初から世界観を作り込みたくなる。
ただ、見た目から作り始めると、
「綺麗だけど何のページか分からない」
「世界観は強いけれど商品が残らない」
という状態になりやすい。
今回の制作で主役にしたかったのは、あくまで白玉美容液だった。
幻想的な世界を作ること自体が目的ではない。
商品から受け取った印象を、別の表現へ翻訳することが目的だった。
だから最初に、
- どこまでを創作として見せるか
- どこから商品そのものを見せるか
- 商品情報をどこに置くか
- 世界観から現実へどう戻すか
を整理した。
「幻想」と「商品説明」を混ぜない
白玉美容液から受け取ったのは、白、光、一滴といった要素だった。
そこから、
月。
水。
透明な花。
夜明け。
といったモチーフへ広げ、幻想的な世界観へ変換していった。
ただし、創作表現と商品の事実情報は同じものではない。
ここを曖昧にすると、綺麗な表現の中に商品情報が埋もれたり、逆に創作表現が商品の効能であるかのように見えたりする。
そこでページの中でも役割を分けた。
前半では、商品から受け取った印象を世界観として体験してもらう。
その後、実際の商品写真を出す。
そこから商品そのものの情報へ切り替える。
「幻想世界の中の商品」から、
「現実に存在する商品」へ戻る。
この切り替えをページ構成の中心に置いた。
見せたいものからではなく、理解してほしい順番から考える
制作側には、見せたいものがたくさんある。
キービジュアル。
背景。
演出。
コピー。
商品の写真。
成分。
使用方法。
全部を載せることはできる。
でも、全部を同じ強さで見せることはできない。
そこで、ページを一つの流れとして考えた。
まず世界観に入る。
次に、少し違和感のある存在として商品を感じる。
夜が明ける。
幻想の風景が消えたあと、商品だけがこちら側に残る。
そこから初めて、商品の説明へ入る。
重要なのは、この順番そのものだ。
同じ素材を使っていても、
最初から商品説明を並べるのか、
最初に感覚的な体験を作るのか。
それだけでページの意味は大きく変わる。
情報設計が決まると、デザインの判断が楽になる
ページ構造が決まると、デザイン上の判断にも基準ができる。
たとえば今回なら、
「今は世界観へ入る場面なのか」
「商品を認識してもらう場面なのか」
「情報を読んでもらう場面なのか」
によって、必要な表現が違う。
世界観に入る場面なら、文字量を減らして余白を取る。
商品を見せる場面なら、周囲の情報を減らして視線を集中させる。
説明する場面なら、幻想表現より読みやすさを優先する。
最初に役割が決まっていれば、
「こっちの方が格好いい」
だけで判断しなくて済む。
そのデザインが、その場面の役割を果たしているか。
判断基準をそこに置ける。
世界観を強くするほど、引き算も必要になる
制作を進める中で、一度は世界観そのものが前に出すぎた。
自分のブランドサイトで使っている黒いフレームや機械的な意匠を持ち込むと、見た目としては成立する。
ただ、それでは白玉美容液のLPではなく、
「自分のブランドの中に白玉美容液を置いたページ」
に見えてしまう。
そこで、既存ブランドの表現をそのまま流用するのをやめた。
必要だったのは、自分らしい見た目を繰り返すことではない。
商品をどう解釈したかに合わせて、その案件固有の表現を作ることだった。
自分のブランド表現を優先するのではなく、対象に合った表現を選ぶ。
これも、情報設計と目的が先に決まっていたから判断できたことだった。
情報は「あるか」ではなく「どこにあるか」で意味が変わる
LPでは、必要な情報を全部載せればいいわけではない。
同じ情報でも、置く場所によって役割が変わる。
たとえば、
商品の特徴。
使用方法。
創作上の表現。
注意事項。
公式への導線。
これらを同じトーン、同じ密度で並べると、何を見ればいいのか分からなくなる。
だから、情報を種類ごとに分けるだけではなく、
「この情報は、ユーザーがどの状態のときに必要になるか」
まで考える。
世界観に入り込んでいる最中に、細かな説明を大量に置かない。
商品のことを知りたい段階まで来たら、演出より読みやすさを優先する。
最後に行動してほしい段階で、初めて次の導線を明確にする。
情報設計は、情報を整理することだけではない。
適切なタイミングで、適切な情報が現れるようにすることでもある。
AIを使うほど、最初の設計が重要になる
生成AIを使えば、ビジュアルもコピーもUIも高速に案を出せる。
だからこそ、何を作るかが決まっていない状態で生成を始めると、選択肢だけが増えていく。
綺麗な画像。
面白いコピー。
格好いい演出。
どれも作れてしまう。
でも、使えるものが増えることと、ページが良くなることは同じではない。
今回もAIは、ビジュアル生成やコピー、実装など様々な場面で使っている。
一方で、
「何を主役にするか」
「どこまで幻想にするか」
「どの順番で情報を見せるか」
「どこで現実の商品へ戻すか」
といった判断は、先に人間側で決める必要があった。
AIを使うほど、制作の前段にある設計の価値は上がる。
自分はそう感じている。
LPの最初に作るのは、画面ではなく流れ
デザインは重要だ。
キービジュアルも、コピーも、アニメーションも、最終的な印象を大きく左右する。
ただ、それらを作る前に、
誰に、
何を、
どの順番で、
どのくらいの強さで見せるのか。
そこを決めておく。
自分にとってLP制作は、画面を装飾する仕事ではない。
情報と感情の順番を作り、それをビジュアルやコピーや動きへ変換していく仕事だ。
だから最初に作るのはデザインではなく、流れになる。

